運用術の本です。
投資の知識がない人にもわかりやすく具体的な投資対象が記載されています。
ただ、2008年の本なので情報が古いですから、ある程度の知識がないと間違った選択をしてしまいそう…。
例えば、本書では「住宅ローンの金利は1.5%だから繰り上げ返済したほうが得」といったことが書かれていますが、現在は0.5%くらいなのでむしろ繰り上げ返済せずに投資に回した方がパフォーマンスがいいと思います。
そういった点はさておき、気になったポイントをまとめていきます。
タップできる目次
筆者は2パターンの投資方法を勧めている
リスク許容度に応じて2パターンの投資方法を紹介してくれています。
リスクを取れる人向けの運用方法
- 生活防衛資金を確保する
- 残りを国内外のETFに投資する(国内4:海外6)
- 大きな支出が必要な場合は②を躊躇なく部分解約する
自分もこれに近いです。
独り身なので生活防衛資金はそんなに確保せず、ガンガン投資にお金を回しています。
リスクを抑えたい人向けの運用方法
- 生活防衛資金を確保する
- 残りを好きなだけ国内外のETFに投資する(国内4:海外6)
- リスクを取りたくない場合は個人向け国債(10年満期)またはMRFを購入する
- 大きな支出が必要な場合は②③を躊躇なく部分解約する
リスク許容度に応じて株式投資を抑え、国債に回しましょうということです。
分かる話です。
国債は元本保証されていますからね。
筆者が進めるのは国内株式4:海外株式6という割合
2008年当時でも日経のパフォーマンスは高くないです。
全世界の株価で見ればどっこいどっこいということでしょうか?
本書ではどちらも同じくらいのパフォーマンスだと語られています。
個人的には長期的に見たら右肩上がりの米国株集中投資の方が効率がよさそうなんですが…。
日本株を混ぜる理由について、「将来の支出を大半日本円で行う日本の将来の支出構造を考えると、日本株が日本に経済的根拠を持っていることのリスク縮小のメリットが相対的に効いてくるから」とあるのですが、自分にはイマイチ意味がよくわかりませんでした…。
単に自分の知識不足ですかね?
「為替リスクについては予想不可能だから気にしてもしょうがない」旨の記載もあったので、為替リスクの問題ではないんだろうなぁと思うのですが…。
でも「為替リスクをあまりたくさん取ると期待収益率は上がらないのに、リスクが過剰になってしまう」ともあります。
リスクはマイナスの意味で使われることが多いですが、プラスになるのもリスクですし、前述の通り読めない話なのであまり気にしても仕方ないような気がします。
しかも米国株であればパフォーマンスがいいので為替のマイナスが生じたとしても、日経なんかに投資するよりはリターンを期待できるように思うのですが…。
高齢者はむしろ株式投資しやすい
よく高齢者は残りの投資期間が短いので、暴落などが起きるともとに戻る前に死ぬ可能性があるからリスクは取らないほうがいいみたいな話があります。
本書ではその考え方を否定しています。
むしろ高齢者の方が先々必要になるお金をこれまでの経験から予測できるので、不要な分を積極的な投資に回せばいいという話でした。
まぁ人生の終わりの方では急に医療費・介護費用がかかることも考えられますが、晩年にもなれば支出は見通せるので一理あるなぁと感じました。
とはいえ、自分の場合は債券多めのポートフォリオにはしそうです。
でも余裕があるなら株式に積極的に回してもいいかも。
いや、子孫がいないならリスクを冒して儲けに行く必要もないか…。
子孫がいるならなるべく儲けたいから分かる話です。
まとめ:現実的な投資の基本知識を得られる本
よくある投資初心者向けの書籍とは違い、具体的かつある程度リスクを取った投資方法をわかりやすく解説してあって面白かったです。
繰り返しになりますが、2008年の本なので情報が古い点には注意してください。
初心者だとそこが判別つかないと思うので、ある程度知識を得てから読んでみるのがよさそうに思います。
著者である山崎元さんの最近の本でも探してみるかなぁ?