※ 本記事はアニメーションに出てくる銃器の描写について考察したものであり、
人々に損害、損傷、危害を引き起こすことを意図したコンテンツではありません。
攻殻機動隊といえば、銃火器・兵器の描写がリアルなのも見所の一つです。
今回はアニメ攻殻SACに的を絞って、銃火器…特に弾薬の設定について考察してみたいと思います。
ここでいう攻殻SAC作品とは、下記のとおりです。
- 攻殻機動隊 Stand Alone Complex(1st)
- 攻殻機動隊 Stand Alone Complex 2nd GIG
- 攻殻機動隊 Stand Alone Complex Solid State Society
タップできる目次
.357SIG弾以上ならば違法改造されているサイボーグにも有効
攻殻SAC 1st 第15話「機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES」 に、G33 ADVANCEという拳銃が出てきます。
これはソフトエアガンメーカの東京マルイからデザインの提供があったとかで、もともとはG26 ADVANCEでした。
しかしG26は9x19mm弾を使用するため、攻殻SACの世界ではパワー不足でアンマッチ、ということで.357SIG弾を使用するG33ベースの銃ということになったそうです。
設定資料などからも、9課が相手にする違法改造されたサイボーグには9x19mm弾はパワー不足で、.357SIG弾以上であれば有効と思われます。
なお、この世界で一般に流通している義体は人間と同等の強度で、9x19mm弾が有効とされています。
9課は違法改造されたサイボーグを相手にすることがあるから、.357SIG弾以上のパワーを持った弾薬が必要になるんですね。
公安9課で制式採用されている銃火器はセブロ社の小口径高速弾モデル
9課で制式採用されているハンドガンは「セブロ M-5 3.5in.」で、アサルトライフルは「セブロ C26-A」です。
# セブロ社とは、攻殻機動隊の世界の銃火器メーカーです。
セブロ M-5は少佐が使用しているハンドガンです。
攻殻SAC 1st 第1話「公安9課 SECTION-9」の冒頭で逃走するサイボーグの足首を打ち抜いた銃ですね。
セブロ C26-Aは9課の面々が使用しているアサルトライフルです。
こちらも早速、攻殻SAC 1st 第1話「公安9課 SECTION-9」で出てきますね。
料亭に突入していた際に使用していたライフルです。
余談ですが、セブロ C26-Aはメディアによってはサブマシンガン(短機関銃)やPDW扱いされていることもありますが、使用弾薬は5.45x45mm弾なのでアサルトライフルです。
サブマシンガンは拳銃弾を使用しますし、PDWは拳銃弾とライフル弾の中間のサイズの弾薬を使用しますので…。
今回はハンドガンをベースに考察を進めます。
公安9課はマンストッピングパワーよりも貫通力を重視
9課制式採用のセブロ M-5の使用弾薬は5.45x18mm弾です。
現実世界において拳銃弾としてよく採用されているのは、9x19mmパラベラム弾です。
比較してわかるとおり、セブロ M-5の方が小口径です。
小口径ということで、パワーが拡散せずに貫通力が高まります。
違法改造されたサイボーグと対峙することが多い9課では、マンストッピングパワーつまり相手を行動不能にするだけのダメージを与えることよりも、強固なボディを破壊することができる貫通力を求めているようです。
確かにサイボーグを破壊するには貫通力は必要だろうけど、だからといって貫通力だけ高めてしまうと今度はマンストッピングパワーが犠牲になってしまっています。
# 現実世界では5.7x28mm弾とかだと硬いものは貫通し、人体のような柔らかいものに対しては弾頭が中で回転して貫通力とマンストッピングパワーを両立している場合もありますが、サイボーグは内部も硬そうなのでそのまま貫通すると思われます。
マンストッピングパワーについてわかりづらいかもしれないので、極端な例で説明してみます。
ターゲットは段ボールとしてみます。
手に針を持って勢いよく刺すと針は貫通します。
同じ力で平手で段ボールをはたくと貫通はしませんけど、段ボールに与える衝撃は平手ではたいた方が大きいですよね?
貫通力が高いと、物体に与えるダメージは小さくなってしまうんです。
サイボーグはボディの重要でない部分を貫通されても、行動不能にはなりません。
生身なら激痛が走るはずですが、電脳化していれば痛覚は切れるので、痛みで行動不能になるというはないです。
攻殻SAC 2nd GIG 第5話「動機ある者たち INDUCTANCE」で首相を襲って少佐たちからの弾を全身に受けても逃げ切ったクゼがまさにそれですね。
そう考えると、ボディに大きなダメージ(衝撃)を与えられる45口径のようなマンストッピングパワーを重視した弾丸の方がよさそうに思えます。
実際にバトーはマンストッピングパワーを重視して45口径(FNハースタル ハイパワーM7 カスタム)を使っていますね。
現実世界でもマンストッピングパワーの足りない弾薬からパワフルな45口径に回帰する「45口径信仰」なんてものがありました。
とはいえ、前述の攻殻SAC 2nd GIG 第5話「動機ある者たち INDUCTANCE」において、クゼには5.45x18mm弾はもちろん、バトーの45口径もまともに効いていませんでしたね。
5.45x18mm弾が貫通してもダメージが小さいのは想定どおりですが、45口径でもあまりダメージを受けていないのがちょっと違和感。
でもクゼの義体は軍用だから特例なのかもしれません。
それでも公安9課は小口径弾を使い続けるのは、なぜか?
攻殻SAC 2nd GIG 第5話「動機ある者たち INDUCTANCE」とのクゼとの戦闘で高性能な義体相手では相手を止められないということが露呈した後も、9課はセブロ M-5を使用し続けます。
なぜか?
セブロ M-5であっても、使い方次第ではクゼのようなサイボーグにも対応できると判断?
クゼの首相襲撃は奇襲だったことや、首相・味方への誤射への誤射を懸念して、満足な射撃ができなかった可能性があります。
特に味方への誤射懸念について。
9課のサイボーグはかなり精密な射撃ができます。
# 原作では、トグサとサイトー以外は、25ヤード12発3秒ピンヘッド(文字通りピンの頭に命中させる)できるとされています。
5.45x18mm弾ではクゼのボディにダメージを与えられていないことに気づいた後は、関節を破壊し行動不能にさせることもできたと思いますが、そこまでは至っていません。
これは撃とうとしても撃てなかった可能性があります。
現場は木製の建物なので、5.45x18mm弾では貫通力がありすぎて、壁を簡単に抜けて遠くにいる味方にあたってしまうかもしれないからです。
若干こじつけかな?
そもそもクゼ並みの高性能サイボーグと戦闘になることはレアケースだから?
たまに戦車と戦闘することがあるからといって、常に対戦車ミサイルを持ち歩くわけではないですよね?
それと同じ考え方かなと思います。
Tips
攻殻SACに出てくる「小口径高速徹甲弾」とは?
小説版では、9課で採用されているセブロ系の銃器は「小口径高速徹甲弾」を使用していると設定されています。
でもこの設定って、アニメでは明言されていません。
なので小説版とアニメ版ではこのあたりの設定は異なるものと思っておいたほうがよさそうです。
銃火器に関する演出ミス?
攻殻SAC 2nd GIGの第1話「再起動 REEMBODY」では、アサルトライフルであるセブロC26-A(5.45x45mm弾使用)でもテロリストサイボーグのボディを貫通できず、ダメージも与えられていませんでした。
貫通しないのは理解できます。
人質がいるので、弾が壁を貫通しないようにソフトポイント弾(貫通力の低い弾丸)を使っていることが想定されます。
だとしてもダメージがほとんどないのはおかしいので、演出のミスを疑っています。
アサルトライフルでダメージを与えられないような人間サイズのボディを犯罪者でも手に入れられる、というのは無理があると思います。
軍用のイモータル義体であるクゼですら、拳銃弾でも表皮は抜けているようでしたので、テロリストがそれ以上の性能の義体というのは考えられません。
そもそもそんなボディがあるのならばバトーだとか海坊主といった公安関係者、軍隊が使っていてもいいはずです。
でもそういった描写はありませんし、そんなものがあったら戦闘シーンが一変してしまいますので。
攻殻の世界の警官が使用しているのは9x19mm弾
攻殻SACの世界で警官が使っている拳銃はナンブ-210DAで、弾は9x19mm弾です。
つまり普通の犯罪者相手であれば9x19mm弾で十分であり、9課が普段相手にしている違法改造されたサイボーグと対峙するケースは稀ということですね。